京都市長 門川大作 様                   2008年10月16日

                             

               申 入 書

 

 本年10月14日、大阪高裁は、京都市教育委員会の「パイオニア調査研究委託事業」をめぐって争われた住民訴訟で、昨年12月の京都地裁判決を支持し、京都市側の控訴を棄却する判決を言い渡しました。

 京都地裁、大阪高裁とも、この事業による公金支出は、地方公務員法25条1項及び地方自治法204条の2で定められた給与条例主義に違反すると認定し、門川大作市長(前教育長)には事業費の全額である7168万円、高桑三男教育長(当事総務部長)には631万円、在田総務部長には690万円、中村啓子総合教育センター副所長(当事総務課長)には19万円の賠償が命じられたのです。

 特に、門川市長については、京都地裁判決でも、「門川は、教育委員会の教育長として、本件各事業を実施するに際し、---給与条例主義違反が生じないような方法を採るべきであったのに、漫然とこれを怠り、本件各事業を実施させることにより、京都市に給与条例主義に反する違法な公金支出をさせた」とされていましたが、大阪高裁ではさらに、「門川に重過失があったものと優に認められる」と認定し、再度、事業費の全額の返還が命じられました。その責任は極めて重大です。

  なお、今回の判決で門川市長に命じられた7168万円の返還命令は、住民訴訟で争われた、2002年度、2003年度の2ケ年の事業費にすぎません。この事業は、2001年度から2005年度まで実施されており、5年間の総事業費は、1億2694万円にもなっています。事業そのものが違法と断定されたのですから、門川市長は、この5年間の総事業費を全て返還しなければならないのは当然です。

 

この事業を違法とした京都地裁判決については、先の市長選でも大きな問題となりました。門川市長は、当時、「この裁判は高裁で勝つ。」(朝日新聞 2008年1月26日、候補者討論会)と弁明して、強い批判にもかかわらず立候補しました。それだけに、門川市長は、今回の高裁判決を受けて、その進退が問われていることは明らかです。

 

以上、今回の大阪高裁判決を踏まえ、門川市長に次のとおり申しいれますので、本年10月28日(上告期限)までに、文書で回答されるよう要請します。

 

 1.京都地裁判決、大阪高裁判決を謙虚に受け止め、上告を断念すること。

 2.判決で命じられた金額だけではなく、5年間の総事業費、1億2694万円を京都市に返還すること。

 3.裁判所から2度にわたって、違法事業の責任者として、事業費の全額の返還を命じられた責任は重大である。市民に謝罪のうえ、京都市長の職を辞すること。

 

 

    「パイオニア調査研究委託事業」違法公金支出住民訴訟 原告一同

           京都市中京区寺町二条 若林ビル3F 京都プロボノセンター内

             京都・市民・オンブズパースン委員会気付(電話:090-2357-1202

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