2009年9月17日「TM訴訟大阪高裁判決」抜粋

 

<個人情報@>

 控訴人蒔田は、訴外会議のメンバーであり、この訴外会議は、道徳教育、教育基本法や日の丸・君が代等への反対運動を繰り返しており、河合長官を道徳教育推進の中心人物であるとし、河合長官が道徳向けの副教材「心のノート」作成会議の座長でもあったことから、度々抗議行動をし、河合長官が座長を務める「京都市道徳教育振興市民会議」(以下「別個会議」という。)の謝金に関する住民監査請求を実施している。

<個人情報A>

 控訴人蒔田は、訴外会議の中心メンバーであり、京都市教育相談総合センターでの開館1周年イベント(平成16年6月開催、河合長官が出席)において、会場内でプラカードを掲げ、指名されなくても大声を発するなどしたため、会議が騒然とし、混乱したことにより、警察が動員され、退場させられた。

<個人情報B>

 文化力TMイン京都においても、控訴人蒔田が来場した場合、河合長官に対し、強い抗議行動を実施するものと思われ、京都市教育委員会や内閣府に対し、タウンミーティングの運営や経費等について、後日、情報公開請求等を行って、批判してくる可能性がある。

<個人情報C>

 控訴人朴は、控訴人蒔田の元夫であり、民族差別を訴える本に名前が出ており、また、在日本大韓民国民団の支団長である。

(以上、大阪高判21〜22頁)

 

<争点(1)(抽選にいたる経緯についての判断)(認定事実)>

○ (2005年)10月5日、松浦から、「かつて河合長官が出席したイベントで大声を出したり、進行妨害をしたため、警察官を関与させることになった者が応募している可能性があるので、応募者のリストを確認したい。」と要求され、応募者リストを送った。(高判27頁)

○ 10月下旬ころ、松浦から(国・伊佐敷に対し)、「これまで注意喚起していた、河合長官の出席したイベントにおいて会場内でプラカードを掲げ、指名されなくても大声を発するなどし、進行の妨害をしたため、警察官を関与させることになった者というのは、蒔田直子さんであり、朴洪奎さんもその関係者である。」と連絡を受け、その際、控訴人朴が控訴人蒔田の元夫であると説明された。(高判27頁)

○ 松浦は、伊佐敷に対し、控訴人蒔田は、訴外会議グループの中心メンバーであり、過去にも同様の抗議活動をしており、河合長官の出席したイベントでの騒ぎの中心人物であること、訴外会議グループは、別個会議の謝金に関する住民監査請求をしたことなどを伝えた。また、この時、松浦は、伊佐敷に対し、控訴人朴は、控訴人蒔田の元夫であると説明したほか、在日本大韓民国民団の支団長であると伝えた。(高判30頁)

○ 松浦は、11月上旬ころ、伊佐敷に対し、文化力TMイン京都の応募者が多数となり、抽選になった場合には、会場内で抗議活動等トラブルを起こす可能性のある控訴人蒔田及び朴を落選させたいとの希望を伝えた。(高判31頁)

○ 松浦は、同月(11月)22日午後8時14分、伊佐敷に対し、伊佐敷が送付した上キリストに「当選」、「一応当選に」及び「教委ダミー」との記載を付したリストを送付するとともに、「当選」、「一応当選に」との記載がある者は、名前を借りているだけで実際に参加しない者であるから、参加証発送の必要がないと説明した。(高判33頁)

○ 以上のとおり、本件抽選に至る経緯は、ほぼ控訴人らの主張するとおりであると認められる。(高判34頁)

○ 文化力TMイン京都では、その応募方法に関して、「応募者多数の場合は、抽選を行」うとうたいながら、実際には、無作為の抽選を行っていなかったことになる。まずもって、被控訴人らのこの行為には、公務の執行に対する信頼を傷つける点があったといわなければならない。(高判35頁)

(△・・・うたいながら、実際には、無作為の抽選を行っていなかったことになり、被告らの行為には、公務の執行に対する信頼を傷つける点があったことは否定できない。)(京都地判29頁)

 

<争点(2)(本件抽選の必要性)についての判断>

○ 前記1で述べたとおり、本件抽選それ自体、公務の執行に対する信用を傷つける不適切なものである。(高判35頁)

○ もっとも、本件全証拠によっても、控訴人松本、同松田はもちろん、控訴人蒔田及び同朴を意図的に落選させることまでして、文化力TMイン京都への参加を拒む必要性があったとまでは認められない。(高判37頁)

○ 確かに、タウンミーティング進行中に不規則に大声を発すること自体を、警備によって防止することは困難である。そして、そのような行為及びそれに対する制止は、参加者、とりわけ子供たちを萎縮させ、会場の混乱を招くことは必然といえる。また、警備員による警備が入ること自体、参加者に違和感ないし不快感を抱かせるから、好ましいものではない。したがって、そのような事態が発生する具体的な危険が認められるときは、抽選によらないで特定の応募者の参加を制限することも、主催者の裁量に基づき許される場面があり得るというべきである。(高判37頁)

○ しかし、控訴人蒔田及び同朴が、両名の子とともに文化力TMイン京都に参加しようとしていたこと等に鑑みれば、従前から、控訴人蒔田ないし同人が関係する団体が、河合長官が推進しているとする道徳教育に対し、継続して強い抗議をしていること、控訴人蒔田が、平成16年6月の河合長官の講演の途中、その内容に異議を唱え、それをさえぎるような発言をしたこと等を理由として、控訴人蒔田及び同朴が、文化力TMイン京都でも大声で不規則発言をするなどして進行を妨害し会場を混乱させる具体的な危険性があったとまで認めることはできない。(高判37〜38頁)

 

<争点(3)(控訴人らの文化力TMイン京都に参加し意見を述べる権利等に対する侵害の有無についての判断>

(文化力TMイン京都に参加し、意見を述べる権利ないし機会について)

○ 前述のとおり、文化力TMイン京都を含めたタウンミーティングの開催を定めた法律はなく、したがって、被控訴人らがこれを開催する法的な作為義務を負っているとは認められない以上、憲法21条1項、13条により、控訴人らが文化力TMイン京都に参加し意見を述べる権利が保障されているということはできない。(高判38〜39頁)

○ 小泉元首相の所信表明演説における発言に、政治的な意味合いはともかく、個々の国民にタウンミーティングに参加できる法的権利若しくは法的利益(地位)を付与するという効果を認めることはできない。(高判39頁)

○ TM室は、7月21日に文化力TMイン京都の開催概要及び参加者募集の案内を公表した当初から、応募者多数の場合には抽選の可能性がある旨を表示していたことから明らかなとおり、文化力TMイン京都は参加希望者全員が参加できるものとして企画されていたわけではなく、参加希望者の中で参加できない者が生ずることは当然の前提であったのであるから、控訴人らの主張する期待は法的保護に値する権利又は利益とはいえない。(高判39頁)

○ 「権利」を「機会」と言い換えたとしても、なおそれを、国家賠償法上保護された法的利益ということはできない。(高判39〜40頁)

○ 控訴人らは、文化力TMイン京都がパブリックフォーラムに該当するとして、それに参加し意見を述べる権利ないし機会は、国家賠償法上保護された法的利益に該当する、と主張する。

しかし、そもそも、控訴人らのいうパブリックフォーラムの定義は、その主張ないし証拠によっても必ずしも明確ではない。その点はしばらく措くとしても、少なくとも、前記のとおり、文化力TMイン京都が、京都の郷土文化ひいては日本の文化への興味、関心、理解の深め方、子供達と文化の関わり方についての意見交換を目的とするものにとどまり、具体的な政策について議論をするものでも、ましてやその判断・決定をするものであったともいえないことに鑑みれば、それへの参加ないし意見を述べることが国家賠償法上保護された法的利益となることが想定されるような場であったとまで認められない。(高判40頁)

 

(公正な抽選を受ける地位について)

○ 控訴人松本について、被控訴人らが意図して同控訴人を落選させたと認めるに足りる証拠はない。伊佐敷は、いわゆるくじ引きの方法によってはいないとしても、ランダムに末尾番号7を選んだと認められるから、同控訴人は実質的に抽選を経て落選したといい得る。被控訴人らの行為により同控訴人の公正な抽選を受ける地位が侵害されたという主張は、その余の点を判断するまでもなく、理由がない。(高判40頁)

○ 同校訴人ら(蒔田、朴、松田)は、意図的に、他の応募者とは異なる取扱いをされたといえる。そして、控訴人松田は、いわばその巻き添えで落選したものであり、実質的に抽選を受けることができなかったということが可能である。(高判41頁)

○ ところで、タウンミーティング開催の態様・方法の決定は、主催者である被控訴人らの裁量に属すると認められ、主催者には必ずしも抽選により参加者を決定する義務はないというべきである。(高判41頁)

○ ところが、控訴人蒔田及び同朴を落選させたいとの松浦の希望が伝えられたことから、TM室は、その希望に沿って、控訴人蒔田及び同朴を落選させるために意図的に一部作為的な選別を行って本件抽選を実施したこと、その上で、TM室は、これらの事実を秘した上で、控訴人蒔田、同朴及び同松田に対し、抽選を行った旨記載して落選の通知を送付したものである。一方で、控訴人蒔田、同朴及び同松田は、無作為の抽選が実際に行われるとの信頼を抱き、抽選により一定の確率で当選することを期待して文化力TMイン京都の参加申込みをしたのに対し、他方で、作為的な選別が行われた結果(なお、本件において、抽選によらずに控訴人らを参加させないとすることを正当化すべき事情は認められないことは、前記第3のに(5)で既に述べたとおりである。)、その期待と信頼が裏切られたことを十分に認定することができる。(高判41〜42頁)

○ ところで、公務員が職務を行うに当たり廉潔性を求められることは当然であることからは、応募者の中から無作為の抽選により当選者を決定すると公表した以上、応募しようとする者が、その公表のとおり抽選が行われると信頼するのもまた当然であって、特段の事情もなく、かつ抽選を行わない旨明らかにすることもせずに、作為的に参加させない者を決定して上記信頼を裏切ることが、不当であることは明白である。条理上(国家公務員法99条及び地方公務員法33条参照)、本件において、抽選がされるものと信頼して応募した者のその信頼は、法的な保護に値するといいうる。(高判42頁)

○ 前記のとおり、TM室は、あらかじめ抽選を実施する場合があることを明示することにより、控訴人蒔田、同朴、同松田に対し無作為の公正な抽選が実施されるものと信頼させ、その結果一定の確率で抽選において当選することを期待させたのに、何らの説明をすることなく作為的な選別を行い、その信頼と期待を裏切ったのであるから、公正な抽選が行われるとの同控訴人らの信頼は、その抽選を受ける地位として、国家賠償法上保護された利益というべきである。(高判42頁)

 

(違法性について)

○ 抽選を行うとしながら何らの説明もなく、控訴人蒔田及び同朴を、文化力TMイン京都に意図的に参加させなかったことについて、前記第3の2(5)で認定したとおり、正当な理由(会場が混乱するとの具体的な危険性)は認められない。また、ことさらに真実でない事実(「抽選の結果落選した。」)を申し向けてまで両名及び控訴人松本(*松田の誤記)を不参加とした必要性、相当性も認め難い。これらのことは、公務員の廉潔性に対する信頼を害するものであることは明らかである。このように、TM室が、松浦と意思を通じて、無作為の抽選を行わず本件抽選により控訴人蒔田、同朴及び同松田を落選させた上で、公正な抽選を経たように装って落選した旨通知したことは、抽選に応募した控訴人蒔田、同朴、同松田との関係でも、条理上、公務員の職務義務に反するもので、国家賠償法上の違法性があると認められる。(高判42〜43頁)

 

(損害及びその数額について)

○ 控訴人蒔田、同朴及び同松田は、被控訴人らの上記各行為により、公正な抽選を受けることなく落選させられただけでなく、抽選を行ったとの通知が事実を糊塗する虚偽のものであったと知り、相当程度のショック、不快感を感じたものと認められる。この精神的苦痛は、社会通念上許される限度を超えるものと認められるから、結局、上記控訴人らに対して、文化力TMイン京都の共同主催者である被控訴人らは、連帯して前記精神的苦痛を賠償する義務を負うというべきである。

その賠償額は、控訴人らが、文化力TMイン京都に参加して意見を述べることができなかったことを何より残念に考えていると認められるところ、その参加・意見陳述自体は、抽選に当選した上で可能となる不確実なものにすぎず、その点で実害は大きくないといえること、本件に関する事実を含め、伊佐敷らTM室の関係者が戒告、厳重注意等の不利益処分を受けており、かつ、被控訴人国は謝罪を申し入れていて、これらは、被控訴人蒔田(控訴人蒔田の誤記)、同朴及び同松田の精神的損害を多少なりとも慰謝するものであること、本件抽選の動機そのものは、文化力TMイン京都の円滑な運営、他の参加者への配慮であって、悪性の高いものとは言い切れないこと等、本件証拠に現れた諸般の諸事実に鑑み、控訴人蒔田、同朴及び同松田について、各5万円をもって相当と認める。(高判43頁)

 

 

<争点(4)(京都市教育委員会が、控訴人蒔田及び同朴に関する情報をTM室に伝えたことが、権利侵害に該当するか)についての判断>

(控訴人蒔田について)

○ 個人情報@及び同Aは控訴人蒔田のプライバシーに係る事実又は情報として法的保護の対象となるというべきである。(高判44頁・地判同文引用)

○ 個人情報Bは伊佐敷ないし松浦の意見・推測にすぎないところ、意見や推測については、控訴人蒔田の私生活上の情報ということはできない。したがって、個人情報Bは、控訴人蒔田のプライバシーに係る事実又は情報ということはできず、法的保護の対象とならない。(高判44頁・地判同文引用)

○ 次に、前記認定事実によれば、松浦が伊佐敷に対して控訴人蒔田に関する情報を開示したのは、文化力TMイン京都には、多数の子供や、河合長官などの関係閣僚の出席が予定されていたため、不規則に大声で抗議がされるなど京都市教育相談総合センターの開館1周年記念イベントにおいて生じたような事態が生ずれば、子ども達が困惑し、ショックを受け、会場が混乱することとなるため、このような事態が発生することのないような対応をTM室に求めるためであり、その目的は正当なものといえる。なお、控訴人蒔田は、個人情報Aが真実でないものを含む旨主張しており、この点、甲30ないし33、乙B3ないし6、松浦証言、控訴人蒔田本人尋問によれば、平成16年6月の河合長官の記念講演において、「プラカード」はなかったこと、(大きな紙であったと認められる上、控訴人蒔田が持っていたか定かでない。)、控訴人蒔田が訴外会議の中心メンバーであるとまでは断定できないこと(上記のとおり、連絡先であったことはある。)、控訴人蒔田ないし訴外会議の行為のみにより会場が騒然となり混乱したとはいえないことについては、控訴人蒔田の主張のとおり、事実と相違するか、誇張があるものと認められる。しかし、これらの誤りないし誇張を含む事実を除いたとしても、被控訴人京都市が、会場の混乱等の事態が生じるとの懸念を抱いたこと自体には相当性があると認められる。(高判45〜46頁)

○ (略)(・・・当初から実質的な共催者であったというべきである。)、共催者の内部において情報を共有したにすぎないのであり、情報を外部に開示した場合とは態様を大きく異にする。すなわち、共催者間に情報が留め置かれ、文化力TMイン京都の円滑な運営に関する限度で利用される限り、本人の権利利益を不当に侵害する恐れがないと被控訴人京都市が判断したことが相当でないとまではいえない。また、控訴人蒔田及び同朴を意図的に落選させて文化力TMイン京都に参加させなかったことが不当であるにせよ、共催者間で共有すべき様々な情報の一環としてこれらの情報を共有すること自体は、文化力TMイン京都の円滑な運営を図るため、正当性が肯定される範囲内にあるといえる。そして、被控訴人ら以外の者に情報が漏れたり、文化力TMイン京都の運営以外の目的のために利用されたと認めるに足りる証拠はない。(高判46頁)

○ 次に、本件全証拠を検討しても、特に被控訴人京都市が相当性を逸脱するような方法・態様で個人情報@及び同Aを収集したということもできない。(高判46頁・地判同文引用)

 

(控訴人朴について)

○ 個人情報Cは真偽の点をおくとしても、控訴人朴の婚姻関係や同人の社会活動に係わる事項に関する情報であるところ、これらの情報については、本人が、自己が欲しない他者にはみだりに開示されたくないと考えるのは自然なことであり、このことへの期待は保護されるべきである。したがって、個人情報Cは、控訴人朴のプライバシーに係る事実又は情報として法的保護の対象となるべきである。(高判47頁・地判同文引用)

○ 次に、プライバシー侵害の有無について検討するに、証拠(甲26、29、控訴人朴本人、控訴人蒔田本人)によれば、本件当時、控訴人朴は控訴人蒔田の夫であり、また、控訴人朴はかつて在日本大韓民国民団の支団長を務めたことはなかったのであるから、個人情報Cは真実に反する情報であったと認められる。(高判47頁・地判同文引用)

○ しかし、松浦が伊佐敷に対して控訴人朴に関する情報を開示したのは、上記認定説示のとおり、文化力TMイン京都には、多数の子供や、河合長官などの関係閣僚の出席が予定されていたため、京都市教育相談総合センターの開館1周年記念イベントにおいて生じたような事態が生ずれば、子ども達が困惑し、ショックを受け、会場が混乱することとなるため、このような事態が発生することのないような対応をTM室に求めるためであり、その目的自体は正当なものといえるし、文化力TMイン京都の共催者内部において情報を共有したにすぎないのであり、情報を外部に開示した場合とは態様を大きく異にする。また、本件全証拠を検討しても、被控訴人京都市が相当性を逸脱するような方法・態様で個人情報Cを収集したということもできない。(高判47〜48頁・地判同文引用)

○ 以上の諸事情を総合考慮すれば、個人情報Cが、一般人の感受性を基準にして私生活上の平穏を害するような態様で開示されたということはできないから、京都市教育委員会がこれをTM室に開示したことにより、控訴人朴のプライバシーが違法に侵害されたということはできない。(高判48頁・地判同文引用)

 

(控訴人らを、その思想・信条に基づき、文化力TM員京都への参加を阻止しようとしたとの点について)

○ しかし、上記認定説示のとおり、松浦が伊佐敷に対して控訴人蒔田及び同朴に関する情報を開示したのは、同控訴人らの思想・信条等の精神的活動を直接の理由とするのではなく、訴外会議グループの関係者が、京都市教育相談総合センターの開館1周年記念イベントにおいて、会場内でプラカードを掲げるなどして、進行の妨害を行ったと認識したことを踏まえ、同様の事態が文化力TMイン京都において生じないように対応するためである。したがって、京都市教育委員会が、控訴人蒔田の思想・信条を理由に控訴人蒔田の文化力TMイン京都への参加を阻止しようとしたということはできない。(高判48頁・地判同文引用)

 

 

<争点(5)(被控訴人国が、参加者名簿を京都市教育委員会に開示したことによる侵害行為の有無)についての判断>

○ 前記認定のとおり、被控訴人らは共催者(正式にそうなる以前も、実質的に共催者であった。)であるから、文化力TMイン京都の円滑な運営を図るために、基本情報である参加応募者名簿を共有するため開示することは、正当視される範囲内にあるし、その目的について違法性が認められないこともいうまでもない、この点についての控訴人らの主張は理由がない。(高判49頁)

 

 

 

 

 

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<参考>

● 被控訴人らが本件において被侵害利益として主張するのは、必ずしも本件TMに参加して発言する権利ではなく、本件TMに参加して発言する機会もしくはその機会の具体的可能性、又はその機会が一定の確率により具体化される場である抽選を受ける地位であると釈明した。(2009.7.7控訴審第2回口頭弁論=結審)

 

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